余話(補足・こぼれ話)

「無料で作れるホームページってどう思う?」と聞かれて…

 

先日、親しい人からこんな質問をされました。

「無料で作れるホームページってどう思う?」

「ホームページに広告が掲載されるのがよくないみたいなことが書いてあったんだけど・・・信用性とか・・・」

 

私はこう返しました。

「いいんじゃないの?」

「そこにこだわって作らないままズルズルいっちゃうよりは。作っちゃった方が。」

 

すると、「そうだよねー。セカンドベストだよねー。」と納得して、このお話は終わりました。

(※「セカンドベスト」とは? )

 

とても短いやりとりでした。

相手がどんな人で、どんな仕事(事業)をしていて、どんな実情で…といった背景をある程度知っていたことや、腑に落ちていない話し方、表情、声のトーンなどから、私は結論だけを返したと思われます。

 

仕事ではなかったことも大きいです。

仕事上の会話だったら、こんな短くは終われません。

 

そんなことを振り返りつつ、このやりとりを自分なりに掘り下げてみました。

どんなことを感じ取って、どんなことを考慮しながらの返答だったのか?

 

参考になれば幸いです。

「違和感」の観点

 

まず第一に、当事者の「違和感」の観点です。

 

話し方や表情、声のトーンなどから、「釈然としない思い」を持っていることが感じられました。

ネットで得た情報について、「そうかなぁ…」と感じている。

もっと端的に言うと「(自分は)そうは思わない」と感じている。

 

ネットのこの情報については、人それぞれでいろんな見解があると思います。

事業内容や事業規模、対個人か対法人かでも違いがあると思われます。

 

ここでの焦点は、この当事者がどう感じているかです。

一般的にどんな見解が優勢かは置いといて、本人が「別に広告があってもいいんじゃないの?」と感じているなら、そこを起点として話を進めようというのが私の考えのベースです。

 

ちなみに、この方は個人事業で習い事の先生をしています。

また、始めたばかりではなく、10年20年といったスパンで継続してやっています。

生徒さんが極端に少ないというわけでもありません。

 

つまり、ホームページがなくても一応成り立っているのですが、

「これまではホームページがなかったけど、ちょっと作ってみようかなと思っている」といった状況です。

それでネットで調べてみたら、気になる情報が目について釈然としない気持ちになってしまったというわけです。

 

こういった背景ならば、「すぐにでもホームページ作成に向かってよいのでは?」と考えました。

 

「推進力」の観点

 

次に、「推進力」の観点です。

 

この人は今ホームページを作りたいと思っています。

「鉄は熱いうちに打て」と言いますが、何か新しいことを始めることや何かをゼロから作ることには、関心や情熱、パワー、エネルギーが必要です。

時機を逃してしまうだけで、事が流れてしまいかねません。

 

何よりまず、着手することが大事だと私は考えました。

着手してから見えてくることもあると思います。

 

どんな展開になるにせよ、そのためには「推進力」が不可欠です。

この方の背景を踏まえて、その「推進力」を削いでまでこだわる必要がある情報とは思えませんでした。

 

「制約条件」の観点

 

「制約条件」の考慮もあります。

 

この方にとって大きな制約条件と言いますか、勘案すべき要素が2つあると思われます。

「経済的要素」と「技術的要素」の2つです。

 

お金をかければ、誰かに依頼してそれなりのホームページを作ることができます。

あるいは、お金をかけなくても技術があれば、広告の入らないホームページを自分で仕上げることができます。

 

ただ、この2つは選択肢に入っていません。

「自分で」というのは考えられないでしょうし、差し当たって「お金をかけてまで」という感じでもありません。

 

まずは「簡単なテンプレートで作れるもの」で、かつ「無料のもの」を考えている。

それで少し調べてみたところ、気になる情報に遭遇してしまった。

 

かといって、「広告が掲載されること」が自分の意向(「簡単なテンプレートで作れるもの」かつ「無料のもの」)を覆すほどの問題があるとは、正直なところ感じていない。

 

このような状況で、第三案、第四案、…と違う選択肢をまた探っていったりすると、先ほどお話したように、具現のための命とも言える「推進力」が衰えてしまう可能性があります。

もちろんそうならない可能性もありますが、ネットの情報が気になって調べているうちに熱が冷めてしまった、勢いを失ってしまったということはよくあるケースなので、「それは避けて欲しいなー」という気持ちがありました。

 

「社会」の観点

 

ここまでは当事者自身のお話でしたが、「社会」の観点も非常に重視しています。

 

私はよく、こんなことを口にします。

『そうなったら誰も得しない』とか、『結局みんなが不幸になる』とか、『こっちの方がみんながHAPPY』といった言葉です。

ここで言う「誰も」や「みんな」というのは、一人の人の選択によって物事が展開していった時に関係してくる人たちのことです。

 

今回のお話で言えば、まずホームページを作成することでご縁が生まれる生徒さんたちがいます。

冒頭のネットの情報についての見解は多々あると思われますが、私は手作り感のあるシンプルなホームページも含めてのご縁があると考えています。

 

習い事というのは継続してお付き合いしていくものですから相性が大事です。

この方の人柄や教室の雰囲気から考えても、手作り感とマッチしている気もします。

仮に見栄えや完成度にこだわりを持つ生徒さんや親御さんには受けが悪いとしても、現状で作れるホームページで生まれるご縁もありますので、「ホームページを作らないままになってしまうこと(=現状で作れるホームページでのご縁まで失ってしまうこと)」だけは避けて欲しいと思いました。

(※一面ベストじゃないのは承知の上で、まずワーストを避けて欲しいというセカンドベストの考えです。)

 

新しく始める生徒さんが増えれば、先生の方も新しい生徒さんの方も生活により潤いが出てきます。

先生もHAPPYですし、相性のよい先生(教室)に出会えた生徒さんもHAPPYです。

 

そうなった時には状況も変わって、誰かにホームページを作り直してもらう気持ちになっているかもしれません。

そうすると、それを引き受ける人(会社)にも恩恵が生まれてきますね。

 

収益が増えれば納める税金も増えますので、大きく見れば地域社会や国にとっても喜ばしいことです。

 

今回のケースは個人事業でしたが、事業をともに運営するスタッフがいれば、その人たちにも影響があります。

組織になじまない一般論や制約条件を超えた無理な計画を推し進めるより、自分たちの持ち味を心得た堅実なアプローチを望んでいるかもしれません。

不釣り合いな選択や無理のある計画は、運営段階で担当スタッフの負担やストレスになることが多いですから。

 

こんな風に当事者の選択によってどんな展開が起きて、関わる人たちにどんな影響が及んでくるかという俯瞰的な見方も、私はかなり重視しています。

 

ケースバイケースであっても…

 

ここまで「違和感」「推進力」「制約条件」「社会」の観点でお話ししてきました。

他にも勘案していることがあるかもしれませんが、パッと浮かぶ主だった要素はこんなところでした。

 

これらは会話中に一つ一つチェックしながら考えているわけではありません。

要素と要素が密接に関係もしていますし、会話中の瞬間的な判断ですから、基本的には下意識(楽器の演奏のように反復練習によって無意識でも身体が反応してくれるようになった状態)でやっています。

ただ大まかに言えば、「違和感」や「制約条件」の観点は「推進力」に影響する要素として捉えていて、「推進力」と「誰も得しない(みんなが不幸になる)展開」の2つを軸に、まずセカンドベストを考えている感じです。

 

今回は「違和感がある」「現状でも経営が成り立っている」「習い事の先生」「お金をかけず」「個人事業」などの要素を勘案して、「推進力重視」という判断で返答したケースでした。

もちろん背景や条件が違えば、返答も変わってくると思います。

ただケースバイケースのお話でも、こんな要素を勘案しているということだけでも参考になるかもしれないと思い、記事にしてみました。

 

ピンと来なければ、聞き流してくださいね。

 

「セカンドベスト」とは? 実用時のニュアンス 『セカンドベスト(second best)』 この言葉を辞書で調べてみると、 最善ではないが、...
【映画『ハドソン川の奇跡』を鑑賞】「遅れても災難より増し」という言葉が心に響きました。 映画『ハドソン川の奇跡』より。 「遅れても災難より増し」 チェスリー・サリー・サレンバーガー 出典:クリント・イースト...