先日の記事『「かけ算」と「積分」の違いを、日常利用の観点で解説します。』の補足Part2です。
よく「微分・積分」とセットで言われます。
しかし先日の記事では、「微分」には触れませんでした。
今日は補足として、「微分」のお話をします。
おさらい
まず先日の記事をおさらいします。
「かけ算」と「積分」
現実に近いのは、「積分」です。
「かけ算」で考えると誤差が大きすぎて、不都合を感じる時に、「積分」を使うと効果的です。
大まかでいいなら、「かけ算」でOK。
もう少し現実に近づけて考えたいなら、「積分」。
そんなイメージを持ちつつ、読み進めてください。
算数の問題を考えてみます。
あなたは車に乗っています。
時速80kmで2時間走りました。
移動距離は何kmでしょうか?
80km×2=160km
算数の問題としては、これが正解ですね。
現実世界で想像してみましょう。
日常生活でこの計算式があてはまるのは、どんな場面ですか?
高速道路を時速80kmで、2時間走る時くらいじゃないですか?
そういう時はザックリ考えて、合ってますね。
「かけ算」でだいたいOKです。
では高速道路でなく、一般道の場合はどうでしょう。
信号があります。
止まったり、加速したり、減速したり、また止まったり…
スピードは一定ではありません。
日常生活のほとんどが、こういう状態だと思います。
こんな場合は「かけ算」では考えにくいです。
実際の移動距離を出しにくいです。
こんな時に「積分」を使います。
実際の車の進み方を考えると、
0km/h(停車している状態)から始まって、1km/h、2km/h、3km/h……と加速しながら進み、たとえば40~50km/hでしばらく走行して…
減速する場合はその状態から39km/h、38km/h、37km/h……と小さくなっていきます。
どれくらいの勢いで加速や減速をしたかによっても、進み具合は違ってきます。
スポーツカーと軽自動車では、加速が違いますよね。
同じ短い時間でも、進む距離はだいぶ違います。
それを踏まえ、時間を細かく分割して考えます。
短い時間に進んだ距離を、まず個別に計算していきます。
その時のだいたいの速度と、区切った時間を「かけ算」して。
そして個別に計算したものを、順に足していきます。
すべて足し合わせたものが、移動距離です。
たとえば最初の1分でこのくらい、次の1分でこのくらい、次の1分でこのくらい…という風に、1分毎に進んだ距離を個別に出していきます。
それらを全部足し合わせてトータルの距離を出します。
でも1分刻みだと、まだ現実とのギャップが大きいですね。
では1秒刻みだったら、どうでしょうか?
1分刻みよりは、だいぶ現実に近くなりますよね。
こんな風に区切る時間を短くするほど、どんどん現実に近づいていきます。
心配しないでください。
自分で手計算でやらなくても、テクノロジーが代わりにやってくれますから。
考え方だけで大丈夫です。
簡単に整理します。
「かけ合わせるもの」の数値が一定だったら、「かけ算」であまり問題ありません。
それに対し、
「かけ合わせるもの」の数値がめまぐるしく変動するなら、「積分」という方法があります。
一旦「分けて」、それらを「積み上げて」いくので、「積分」。
言葉としても、やっている作業を表していると言えます。
「微分」は、スピードが変化するときの話
ここまでは、先日の記事の前半とまったく同じです。
大まかでいいなら、「かけ算」でOK。
もう少し現実に近づけて考えたいなら、「積分」。
「かけ合わせるもの」の数値が一定だったら、「かけ算」であまり問題ありません。
「かけ合わせるもの」の数値がめまぐるしく変動するなら、「積分」という方法があります。
「積分」を使うのは、こんな場合でした。
「微分」のお話に入ります。
ここまでのお話の中で、「微分」と関係がある部分を抜き出します。
・・・
どれくらいの勢いで加速や減速をしたかによっても、進み具合は違ってきます。
スポーツカーと軽自動車では、加速が違いますよね。
同じ短い時間でも、進む距離はだいぶ違います。
それを踏まえ、時間を細かく分割して考えます。
短い時間に進んだ距離を、まず個別に計算していきます。
その時のだいたいの速度と、区切った時間を「かけ算」して。
そして個別に計算したものを、順に足していきます。
すべて足し合わせたものが、移動距離です。
・・・
なぜ「積分」という面倒な作業をするかというと、「速度変化」があるからでしたね。
「速度」が一定なら、「かけ算」で問題ありません。
「微分」は、この「速度変化」と関係があります。
「かけ算」で「微分」のような概念が出てこないのは、「かけ合わせるもの」が一定だからです。
「速度変化」がないので、一回のかけ算で済んでしまうわけです。
「微分」は、変化の度合い
「微分」の本質は、次の太字の部分です。
・・・
どれくらいの勢いで加速や減速をしたかによっても、進み具合は違ってきます。
スポーツカーと軽自動車では、加速が違いますよね。
同じ短い時間でも、進む距離はだいぶ違います。
それを踏まえ、時間を細かく分割して考えます。
短い時間に進んだ距離を、まず個別に計算していきます。
その時のだいたいの速度と、区切った時間を「かけ算」して。
そして個別に計算したものを、順に足していきます。
すべて足し合わせたものが、移動距離です。
・・・
スポーツカーと軽自動車では、加速が違う
これが分かりやすい例です。
同じ短い時間で時速50~60kmまで加速できる車と、時速30~40kmまで加速できる車では、進み具合が違ってきます。
その小さな違いが積もり積もっていくと、トータルの移動距離に大きな違いを生み出します。
最終的に知りたい距離に大きな違いが出るなら、影響要素に注目するのは自然な流れですよね。
その要素が、「変化の度合い」です。
そして、それが「微分」のお話です。
今日はこれ以上、数学的な深掘りしません。
考え方としての解説にとどめます。
「微分」とは、「変化の度合い」に着目すること
この考え方があるだけで、応用ができます。
「変化」に影響を及ぼすもの
スポーツカーと軽自動車では、加速が違う
さきほど、これが分かりやすい例だと言いました。
でも現実世界で「速度変化」に影響するのは、それだけではないです。
どれくらいの勢いで加速や減速をしたかによっても、進み具合は違う
スポーツカーとの比較でなく、
同じ軽自動車でも勢いよくアクセルを踏む時と、そうでない時とでは、同じ短い時間でも違ってきますね。
それが積もり積もると、最終的には結構な違いになります。
ここまでは車が持っている性能や、アクセルの踏み具合のお話でしたが、
速度や距離に影響する要素は他にもあります。
いくらスポーツカーの性能がよくても、一車線の道路だったら自分の都合だけで加速はできません。
通勤ラッシュもあります。
工事中の道路もあります。
交差点や横断歩道のある道路では、歩行者もいます。
保育園や小学校のある住宅街では、徐行が基本です。
数学的な見方だけでは見えてきませんが、現実を深く洞察すると、関係性や背後の構造が見えてきます。
この見方は、いろいろと応用できます。
組織のマネジメントだと、そのままイメージしやすいですね。
ある人の潜在的資質や能力が高くても、ブレーキがかかる影響要素が多いほど、進む距離は短くなります。
さきほどのスポーツカーのように。
勉強や語学学習でも、応用できます。
短期的に結果が出やすい教材や勉強の仕方。
ネットを開くと、そういう情報で溢れています。
しかし例えるなら、それはスポーツカーの性能のようなものです。
たしかにその要素は、重要だと思います。
それが重要でないとは、もちろん言えません。
ただ、そこに意識を奪われ過ぎていないだろうか?
他の影響要素が見えなくなっていないか?
そんな風に感じてしまいます。
そのスポーツカーを乗りこなせるのか?
長い時間乗っていられるか?
すぐに飽きてしまわないか?
実践できるか?
継続していけるか?
さきほどの組織マネジメントと同様に、自分を取り巻く環境の問題もあります。
勉強や語学学習が進捗しやすい態勢をつくれているか?
部屋の状態、スマホの利用時間、属するコミュニティとの距離感、…
虫の目に偏っていないか?
短い時間で成果が出やすい方法。
これを考えたくなるのが人情です。
私も非常に関心があります。
しかし、注意が必要です。
視野が狭くなります。
「積分」的視野が飛んでいないだろうか?
この懸念があります。
私たちの最大の関心は、「トータルでどれだけ積み上げられていくか」ということです。
瞬間的、短期的な距離や、変化の度合いではありません。
虫の目より、鳥の目。
「微分」的視点より、「積分」的視野。
現実的にどれだけ進むかを考えるなら、俯瞰的な洞察が重要です。
「実践・継続」がリトマス紙
私は人材開発が専門です。
人材開発とは、「人の能力を引き出すこと」です。
人が能力を発揮し、何かを成し遂げていくには、「実践・継続」が不可欠です。
どんなにもっともらしい理論でも、「実践・継続」できなければ画餅に帰すからです。
いろんな情報に惑わされた時、私はまず「実践・継続できそうか?」ということに着目します。
瞬間的な成果や短期な効率より、「実践・継続」の影響の方がはるかに大きいからです。
自分だけでなく、支援においても同様です。
当事者の条件下で、当事者が「実践・継続できそう」と感じられる選択肢に着目します。
反対に、「実践・継続できなさそう」と感じる選択肢はふるいにかけます。
積み上がっていかない選択肢は、徒労に終わることが多いからです。
情報洪水・同調圧力社会では、いろんな意見や情報に惑わされます。
そんな時、実践プロセス全体を俯瞰できると、無用な意見や情報をふるいにかけられます。
今日は補足として、「微分」のお話をしてきました。
しかし私は、「積分」的な考え方が土台だと考えています。

