スティーブン・R・コヴィー著、『7つの習慣』より。

「マネジメントは成功のはしごを能率よく登ることであり、リーダーシップはかけ違っていないかどうかを判断することである。
 例えば、ジャングルの中で手斧を持って道を切り開いている作業チームを考えてみよう。そうすればこの違いの重要さを容易に判断できるだろう。

 作業チームのメンバーは生産者であり、直接問題を解決する人たちである。
 マネジャーたちはその後方に立ち、手斧を研いだり、方針や手順のマニュアルをつくったり、筋肉強化のプログラムを開発したり、新しい技術を導入したり、スケジュールを組んだり、作業員の賃金体系をつくったりする。
 では、リーダーとはどういうことをする人だろうか。それは、ジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して、下に向かって『このジャングルは違うぞ』と叫ぶ人なのである。
 しかし、仕事に追われて能率を重視する生産者やマネジャーたちが、その言葉を聞いても、一般的に示す反応は、『黙ってろ。作業は順調に進んでいるんだから』というものだ。

(中略)

 私たちの効果性、場合によっては生存そのものは、努力の度合いというより、その努力が正しいジャングルの中にきちんと注ぎ込まれているかどうかにかかっている。現在、産業界が直面している大きな変革を考えれば、先にリーダーシップ、後にマネジメントというアプローチがますます必要になっている。」  

出典:スティーブン·R·コヴィー(1996)『7つの習慣』 キングベアー出版 p.132~p.133

 

この本が日本で発売されたのは、1996年です。

原著の初版は1989年に出版されていますので、30~40年前の本ということになりますが、今読んでも色あせていません。

 

特に、この辺りの記述…

 

リーダーとはどういうことをする人だろうか。それは、ジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡して、下に向かって『このジャングルは違うぞ』と叫ぶ人なのである。

しかし、仕事に追われて能率を重視する生産者やマネジャーたちが、その言葉を聞いても、一般的に示す反応は、『黙ってろ。作業は順調に進んでいるんだから』というものだ。

 

見事に言語化してくれているので、思わずうなってしまいます。

起こりがちな構図です。

 

少し掘り下げると、意外とその前段階でも壁があります。

中小企業や個人事業では、リーダーとして叫ぶ以前に、能率によって本質を見失いがちです。

 

マネジメントは成功のはしごを能率よく登ることであり、リーダーシップはかけ違っていないかどうかを判断することである。

 

リーダーとマネジャーが別の人であれば、リーダーはある程度リーダーシップに専念できます。

他の人が能率に意識を奪われ過ぎていても、客観的に認識することができます。

 

しかし、一人で兼務しているとそうはいきません。

自分自身が能率に偏っていること自体に、自分で気づくのはなかなか難しいですよね。

 

日々の業務で忙しかったり、DXやAIを強く意識させられる環境では、より能率に意識を奪われていきます。

悪循環になって、どんどん本質に気づく機会が失われていきます。

 

対策としては、取り巻く環境を変えられるなら変えること。

能率を過剰に助長される情報源や人間関係、コミュニティと少し距離をとること。

取り巻く環境の影響は大きいので、この部分は一考した方がよいかもしれません。

 

環境とは別のことで言うと、本質を考えるための時間を確保すること。

天引きで、自分とのアポとして、本質のための予定を入れること。

 

能率がいけないわけではありません。もちろん能率も大事なことです。

問題は、能率に意識を奪われて、本質を見失ってしまうこと。

リーダーとしての自分が、マネジャーとしての自分に支配されて、いなくなってしまうこと。

 

あまり意識しなくても、能率は自然と意識させられる社会環境です。

むしろ、過剰に追ってしまうくらいに。

 

それに対して本質は、環境の後押しがあまりありません。

むしろ削がれがちなので、自分で意識的に考えていく必要があります。

 

私たちの効果性、場合によっては生存そのものは、努力の度合いというより、その努力が正しいジャングルの中にきちんと注ぎ込まれているかどうかにかかっている。

先にリーダーシップ、後にマネジメントというアプローチがますます必要になっている。

 

能率は能率として、大事なことが薄れていないでしょうか?

「理念」や「目的」、「業界における位置取り」や「担当領域」、「方向性」、「価値基準」…

あるいは、「なぜ」「何のために」「どんな人のために」「背景」「そもそもの動機」「シンプルな想い」「社会的意義」「パワーの源」・・・

 

こういったことについて振り返ったり、対話したり、掘り下げたり。

最後にしたのは、いつでしょうか?

 

考え続けないと、意識から飛んでいきます。

事業活動を続ける限り、日常に入れ続けて欲しいと思います。