参考(知識・考え方)

『利益は企業や事業の目的ではなく、条件である。』(ピーター.F.ドラッカー)

 

『ドラッカー名言集 経営の哲学』より。

利益は妥当性の尺度

利益が重要でないということではない。
利益は企業や事業の目的ではなく、条件である。
利益は、事業における意思決定の理由や原因や根拠ではなく、
妥当性の尺度である。

………『現代の経営』

出典:P.F.ドラッカー(2003)『ドラッカー名言集 経営の哲学』 ダイヤモンド社 p.117

 

今日は、利益について。

私にとって、転機となったドラッカーさんの言葉です。

 

私は20代の頃、利益について考えると心がモヤモヤするというか、ザワザワするというか、心地の悪い感覚を持ち続けていました。

しっくりくる捉え方を、取り巻く人や職場の空気からは吸収できず、悶々としていました。

 

当時(90年代後半~2000年頃)は20代といえば、「ごちゃごちゃ考えてないでとっとと動け」という空気でしたし、私自身、自分のことを仕事ができる人間とは思えなかったので、目の前の仕事に取り組むので精一杯でした。

なんだか青臭い悩みのような気がしていたこともあり、誰かに口にすることもなく、日々は過ぎて行きました。

 

30歳が近づくにつれて、私はその後の道として、独立を意識し始めます。

それに伴って、利益についての心地悪さも再燃してきました。

 

心に引っかかりがあると、思い切って行動することもできませんし、いい知恵も出てこないものです。

スッキリしている時とは明らかにパワー・エネルギー・推進力が違いますので、自分の足で立つつもりなら、より切実な問題になってきます。

 

結局、その後もしばらくは納得できる指針に出会えず、数年は心地悪さを抱えたまま過ごしていましたが、30代半ばで思いがけずこの本(『ドラッカー名言集 経営の哲学』)に出会います。

たまたま本屋さんで平積みになっていたのを見かけ、軽い気持ちで本を開いたのですが、ページをめくる度にドラッカーさんの言葉が体に染み渡りました。

 

冒頭の言葉の他にも、

利益は目的ではない

事業体とは何かを問われると、
たいていの企業人は利益を得るための組織と答える。
たいていの経済学者も同じように答える。
この答えは間違いなだけでない。
的外れである。

………『現代の経営』

出典:P.F.ドラッカー(2003)『ドラッカー名言集 経営の哲学』 ダイヤモンド社 p.116

 

利益の必要額についての計画

利益計画の作成は必要である。しかしそれは、
利益の最大化についての計画ではなく、
利益の必要額についての計画でなければならない。
その必要額は、多くの企業が実際にあげている額はもちろん、
目標としている額をも大きく上回ることを知らなければならない

………『マネジメント』

出典:P.F.ドラッカー(2003)『ドラッカー名言集 経営の哲学』 ダイヤモンド社 p.124

など。

 

利益が目的ではなく、条件であること

を重層的に語りかけてくれます。

 

同じ本、同じ言葉を読んでも、人によっては何とも思わないかもしれません。

むしろ違和感がある人もいるでしょう。

 

しかし、私にとっては救いとなる本であり、救いとなる言葉でした。

 

以来、現在に至るまで、私にとってはり所になっている指針です。

近い感覚の方に、参考となれば幸いです。