余話(補足・こぼれ話)

コーチングの本「インナーゲーム」について

 

●「コーチング」にもいろいろありますが…

コーチングを知っていますか?

最近は、知っている人も多いと思います。

 

ちなみに私は、90年代後半にその存在を知りました。

そういう資格があると。

資格取得も考えましたが、自分と馴染むものに出会えなかったので、結局取らないまま今に至ります。

 

資格は取りませんでしたが、仕事で必要な程度は、本を読むなどして学習してきました。

今でも10冊くらいは本棚にありますが、よく読み返しているのはティモシー・ガルウェイさんの著作「新インナーゲーム」です。

 

(※2000年に日刊スポーツ出版社から発行された「新インナーゲーム」は、1970年代に発行された「インナーゲーム」の改訂版です。「新」となっていますが、学んでいるもの自体は「インナーゲーム」です。)

 

テニスのコーチであったティモシー・ガルウェイさんは、改訂版「新インナーゲーム」のまえがきでこう語っています。

発端は、私自身や生徒たちを観察する内に、プレーヤーがそれぞれ、「心の内側で、自分自身と会話している」ことに気がついたことだった。
「しっかりやれよ」「いいぞ、その調子」「だから、言ったじゃないか」。
こうした会話の一部は、恐れや自己不信からくるもので、プレーヤーがその場で最大能力を発揮することを、むしろ妨げていることに気がついた。その発見がすべての起点になった。

出典:W.T.ガルウェイ著(2000)『新インナーゲーム』 日刊スポーツ出版社 p.18

 

ガルウェイさんは、指示や反省をしている自分自身を「セルフ1」、それを聞いて実際にプレーをしている自分を「セルフ2」と呼び、区別しました。

そして、プレーしている「セルフ2」が力を発揮できるよう、いかに「セルフ1」の妨害を減らすかを考えました。

こうして、ガルウェイさんのコーチング手法が生まれました。

 

(※コーチングの源流はいろいろあります。いろんな方が別々に手法を確立しています。また近年の日本でよく見聞きするコーチングは、各団体が体系化し、認定している民間資格です。国家資格はありません。)

 

私は細かい知識やテクニックよりも、本質を理解し応用したかったので、ガルウェイさんの「インナーゲーム」が合っています。

また、ガルウェイさんの意図・姿勢・スタンスのようなものも、「インナーゲーム」に落ち着いた理由の一つかもしれません。

 

たとえば、こんな記述があります。

しかし、この理論を頭から丸呑みして貰う必要はない。
私はカリスマでも教祖でもない。
インナーゲームは宗教ではない。
ここで述べたことは、実験され、吟味され、テストされなければならない。

出典:W.T.ガルウェイ著(2000)『新インナーゲーム』 日刊スポーツ出版社 p.102

 

私はビジネス書をたくさん読んできましたが、自ら吟味を促すような発言には、あまり出会ったことがありません。

 

こんな記述も。

結論から言えば、私は技術指導(Technical lesson)を否定する者では全くないが、そのシステムは、生まれつき誰しもが内側に持っている「自然習得」の能力を、出来うる限り理解した上で、構築されるべきだと信じる。

出典:W.T.ガルウェイ著(2000)『新インナーゲーム』 日刊スポーツ出版社 p.125

 

コーチングというと、技術指導にあまり触れないイメージ、あるいは技術指導を否定するニュアンスもあったりしますが、ガルウェイさんは否定していません。

大事なのは、プレーをする「セルフ2」の妨げにならないよう、考慮・構築されているかどうかだと。

 

この2ページだけでなく、本全体を通して端々から感じられるものがあります。

「インナーゲーム」の解説だけでなく、こういった意図や姿勢、根底にある考え方も触発されます。

 

ひと口に「コーチング」と言っても、いろいろあります。

細かい知識や多くのテクニックより、本質的な理解や考え方を求めている方は、私と同じように「インナーゲーム」が合うかもしれません。

 

参考になれば、幸いです。

 

(※ガルウェイさんが「インナーゲーム」の原理を、スポーツ以外に応用したものを「インナーワーク」と言います。私はガルウェイさんの著作「インナーワーク」も持っていますが、「インナーゲーム」の方が理解しやすいので「インナーゲーム」をよく読み返しています。)