参考(知識・考え方)

『重視すべきは顧客の支出配分』(ピーター.F.ドラッカー)

『ドラッカー名言集 経営の哲学』より。

重視すべきは顧客の支出配分

ほとんどの企業が本当に重要な数字を知らない。
それは、顧客の全支出のうち、自社が提供するカテゴリーの製品やサービスに使ってもらっている割合についての数字である。

………『明日を支配するもの』

出典:P.F.ドラッカー(2003)『ドラッカー名言集 経営の哲学』 ダイヤモンド社 p.83

 

今日は、支出配分のお話です。

支出配分とは、何にどのくらい使うか

 

支出配分とは

「使えるお金を、何にどのくらい使っているか(使うか)」ということです。

代表的な例として、エンゲル係数があります。

 

エンゲル係数とは、 家計の消費支出に占める食費の割合のことです。

収入や家族構成によって目安は異なりますが、家計におけるエンゲル係数の適正値は15%〜25%とされています

一般にこの範囲内であれば、食費と他の支出(貯蓄や娯楽など)とのバランスが取れている状態です。

 

ドラッカーさんは支出配分について、こうも言っています。

支出配分の2つの変化

21世紀の初めの数十年は、支出配分のカテゴリー間の変化とカテゴリー内での変化の双方が大きくなる。
ところが、支出配分の変化に注目している企業やエコノミストがいない。
彼らは、そのような問題があることを知らない。

………『明日を支配するもの』

出典:P.F.ドラッカー(2003)『ドラッカー名言集 経営の哲学』 ダイヤモンド社 p.85

 

私がこの本をはじめて読んだのは、21世紀に入ったばかりの2003年頃です。

今から23年くらい前ですね。

 

最初のころはあまりピンときませんでした。

でも今振り返ると、実感します。

 

たとえば若い頃の私は、生活費の中で「外食(飲み代)」の支出配分が大きかったです。

それは周りと比べて特にというわけでもなく、私と似たような人は多かったと思います。

 

今の若い世代は違う印象です。

近年では、お酒を飲まない若年層も増えていますので、そういう背景も含めて変化を感じます。

 

消費者の立場で

 

自分が消費者の立場では、家計でも、個人的なお金でも、自然と支出配分を考えます。

大きな買い物のときは、特に考えます。

 

たとえば車を買うとき、どの程度オプションをつけるかという選択。

一つ一つがそれなりの値段しますので、重要ですよね。

 

こういうとき営業の人は、「これ皆さんつけてます」みたいなこと言うと思いますが、私は支出配分にかなり忠実です。

「皆さんつけてます」というのが本当のことでもセールストークでも、いずれにしても私にとっては重要な要素ではありません。

家計の支出配分の方がずっと重要度が高いので、その兼ね合いを重視します。

 

提供する立場では

 

自分が提供する立場のときは、

「自分の提供しているものが、相手にとってどんな位置づけなのか」を意識します。

 

まずは当然、必要性を感じるものかですね。

必要性を感じないものは、要らないものです。

 

さきほどの車のオプションの例で言うと、必要性を感じないものは迷いません。

はじめから悩む選択肢に入っていません。

そういうものは、値段が高いか安いかということも関心がない感じです。

 

迷うのは、それなりに必要性を感じるもの。

必要性を感じてはじめて、値段と支出配分の間で迷う流れに向かいます。

 

自分が消費者の立場で、そういうプロセスを体感しているので、自分が提供側のときもそこら辺を意識します。

 

それぞれの支出配分がある

 

私たちは、それぞれに支出配分を持っています。

支出というのは、お金だけでなく、時間やエネルギーの支出もあります。

 

例えば私は、「釣り」をやりません。

自分もやらないし、身内にもやる人がいないので、生活の中で「釣り」にお金を使うことがありません。

お金だけでなく、時間やエネルギーも使うことがありません。

 

釣り道具のお店に行くこともありませんし、釣りの動画を観ることもありません。

釣り道具の値段を聞いても、相場を知らないので高いか安いかも分かりません。

 

この先どこかで変化が起こるかもしれませんが、今はそんな状態です。

「釣り」が好きな人とは、配分が違います。

 

一方、私は「本」をたくさん読みます。

若い頃からたくさん読んできましたし、今でも「本」を読んでいる方だと思います。

 

「本」を読むのは、それなりに時間もエネルギーも要します。

もちろん基本的に買って読みますので、その費用もかかります。

仕事柄もありますが、私は時間、お金、エネルギーを、かなり「本」に使っています。

 

需要を形成しているのは、十人十色の支出配分

 

細かく見れば、セールストークや衝動的な買い物など、付随的な要素の影響も大きいと思います。

しかし本質的に需要を眺めてみると、十人十色の必要性と、最終的には支出配分が決め手になっています。

 

私は本をたくさん読んできました。

仕事絡みでしたので、好きでそうしてきたというより、そうせざるを得なかったというのが本音です。

そんな必要性のこともあります。

 

同様の必要性から、日常的に内省したり、熟考する時間やエネルギーも割いてきました。

その時間やエネルギーの分だけ、他のことに充てられなくなっても、そう配分して何とかやりくりしてきました。

 

私が支援しているのは、人や組織の能力発揮やマネジメントについて、『よくよく考えてみると…』と静かに考える行為です。

『よくよく考えてみると…』という言葉を使うとき、私たちは現実の出来事や、体験上の教訓に思考をめぐらせています。

情報に意識を奪われていた状態から現実を見つめ直したり、無意識に行っていたことについて客観的に振り返ったり…

 

私自身が長年、時間、お金、エネルギーを配分してきたことなので、私には必要な類いのものです。

同じように必要と感じる人もたくさんいます。

 

しかし、要らない人にとっては要らないものです。

要る人には不可欠でも、要らない人にはまったく要らないものだったりします。

 

それぞれに必要性や支出配分があります。

そこを押さえていると、適切な人に適切に提供することができます。

また逆に必要でない人に、不適切に提供することを避けることもできます。

 

参考になれば幸いです。